判例の小窓 №2(平成23年10月)

【コメント】
最高裁判所は、マンションなど居住用建物の部屋の賃貸借契約の際に交わされる更新料の特約は有効であるという判決を下記のとおりしました。この特約についても消費者契約法の適用があることを認めながら、民法の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものに当たるといえないというものです。この特約が消費者に不利益であることは明らかですから、消費者の利益を一方的に害するかどうかについて、もっと丁寧な判断が欲しかったと思います。今後は具体的な事例ごとに、どこからが民法の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものか検討することになると思われます。最高裁判所平成23年7月15日第二小法廷判決(破棄自判)「更新料の特約」は有効 個人がマンションなど居住用建物の部屋を賃借するに際し、契約書で契約期間を更新するときには所定の更新料を貸主に支払うことを約した場合、更新料が高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、その約定は無効とはいえず、賃借人は更新と共に更新料の支払い義務を免れない。(賃借人敗訴)1 原告Ⅰ(賃借人)は、被告(賃貸人)との間で、平成15年4月1日、京都市内の共同住宅の一室(本件建物)につき、期間同日から平成16年3月31日まで、賃料月3万8000円、更新料賃料の2か月分、定額補修分担金12万円とする賃貸借契約を締結し、平成15年4月1日本件建物の引き渡しを受けた。原告Ⅱは、原告Ⅰの上記債務について連帯保証した。2 原告Ⅰは、被告との間で、平成16年から平成18年まで毎年2月ころ、3回にわたり各1年間更新する旨合意し、その都度更新料7万6000円を支払い、合計22万8000円に達した。
3 原告Ⅰは、平成19年4月1日以降も本件建物の使用を継続したことから同日更新したものとみなされたが、更新料7万6000円を支払っていない。4 原告Ⅰは、本件更新料の条項及び定額補修分担金の条項は無効であるとして、被告に対し、支払済みの更新料22万8000円と定額補修分担金12万円について不当利得返還請求訴訟を提起した。被告は、逆に、原告らに対し未払い更新料7万6000円の支払を求める訴訟を提起した。5 控訴審(大阪高裁)は、本件更新料の条項及び定額補修分担金の条項を消費者契約法10条により無効であるとして、原告Ⅰの請求を認容し、被告の請求を棄却した。上告審(第二小法廷)は、被告の上告受理申立のうち、定額補修分担金の部分については理由書が提出されなかったため却下、更新料の部分については同条項が消費者契約法10条により無効であるとはいえないとして原告Ⅰの更新料返還請求を棄却し、被告の請求を認容した。6 賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である。(判決要旨)