判例の小窓 bR0(平成25年9月) 



【コメント】
 Aは、平成13年7月に死亡し、その相続人で、嫡出の子Xら(代襲相続人を含む)が、嫡出でない子Yらを相手方として、家庭裁判所に遺産分割を申し立てました。。
 原審(東京高裁)は、第1審が「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」という民法900条4号ただし書前段の規定を適用して、Yら各人の相続分をXら各人の相続分の半分として、遺産の配分を決めたのを是認して、Yらの抗告を棄却しました。Yらは、最高裁判所に特別抗告をしました。最高裁判所は、大法廷で審理し、Yらの主張を認め、同規定を憲法違反と判断して、事件を原審東京高裁に差し戻しました。なお、大法廷は、同じ日に原審大阪高裁(一審和歌山家裁)の遺産分割事件(相続の開始が平成13年11月)でも同様の判断を示しています。
 大法廷は、平成7年7月5日に同規定を違憲ではないという決定を出しているので(東京高裁、大阪高裁はこれに従ったもの。)、これとの整合性が問題となり、苦慮せざるを得ず、また、合憲として処理済みの他の同種事件に影響を及ぼさないように配慮する必要があると考え、典型的な違憲判断のみでは済まされない苦しい状況でした。
 判決要旨2は、平成13年7月から本決定までの間に同種事案で処理された事件については本決定が影響を及ぼさないとして、紛争の蒸し返しによる混乱が広がることを避けようとしました。社会的には適切な判断でありますが、法理としては、実体的には平等原則を貫徹させず、手続的には判例が当該事件限りで下級審を拘束するものであるのに、本決定で将来の最高裁の判決判断まで事実上拘束しかねないことになります。

最高裁判所平成25年9月4日大法廷決定(原決定破棄、差戻)

1 民法900条4号ただし書前段の規定は、遅くとも平成13年7月においいて、憲法14条1項に違反していた。 
2 本決定の憲法判断は、平成13年7月当時から本決定までの間に開始された他の相続につき、上記規定を前提としてされた遺産分割審判等の裁判、遺産分割協議その他の合意等により確定的となった法律関係に影響を及ぼさない。

 最高裁(大法廷)の理由

 上記規定は、法律上の差別であり、合理性があると認められない限り憲法14条1項(法の下の平等)に違反するものである。平成7年7月5日大法廷決定以後の、家族の在り方に対する国民の意識の多様化、諸外国の立法の変化、わが国が締結した条約の規定やそれに基づく是正勧告、住民票や戸籍の記載方法の修正などからみて、立法府の裁量権を考慮に入れても、遅くとも平成13年7月当時において、上記規定は、憲法14条1項に違反していた。(裁判官14人の全員一致  補足意見三つあり)


  判例の小窓一覧へ   判例29へ